宿泊施設に「ホテル」と「旅館」がある。この違いを分かっているようであまりわかっていない人が多い。さらに外観と雰囲気が和式と洋式とで違うだけでは?と思っている人もとても多い。
ホテルと旅館の違いは実はとても奥が深いもの。今回はそんな2つの違いについて詳しく説明する。加えてサービスの違いやメリット、デメリットなど、これらを知ればあなたの旅はきっともっと楽しくなる!
ホテルと旅館の違いとは?
「今回は旅館とホテルどちらを予約しようか」と旅をするときに毎回迷う。あなたはどうやって宿泊先を決めているだろうか。例えば、ご飯や温泉目的なら旅館、観光優先なら宿代をリーズナブルなホテルにする…なんて人もいるのでは?
そもそも和式で彩られた旅館、洋式一色で装飾されているホテル、2つの違いはこの外観だけ?具体的にはどう違うのだろう?
実は宿泊施設を建設するには『旅館業法』というものがあり、構造設備の基準がきちんと定められている(昭和23年施行)。ホテルと旅館の他に民宿やペンションにも基準が設けられているが、今回はこの2つにスポットをあててみた。
旅館の基準
和の代表「旅館」を建設するには以下を含めた色々な基準がある。
・客室数はおもに和室で5部屋以上
・客室の広さは7平方メートル以上。2名以上で基本は食事付き(最近は1人で宿泊や素泊まりOKな旅館も増えている)
・寝具は布団、またはベッドを置く
・適当数のトイレと入浴設備も備えるetc…
またネットやパンフレットに、客室をタタミ何畳分と定員数で表示することが多い。
ホテルの基準
続いてホテル営業の構造設備の基準はこうなっている。
・客室数はおもに洋室で10部屋以上
・客室の広さは9平方メートル以上
・洋式浴室又はシヤワー室を有する
・出入口、窓は鍵をかけられること
・客室は壁で仕切られているetc…
客室は(ダブル 32平米 定員数)で表示することが多い。 またホテルにはシティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテル、100部屋を超える大型のホテルなど種類も様々ある。
サービスの違いは何だろう?
では、各サービスを見てみよう。「お客様に満足と感動を提供する」基本姿勢は共通しているが、ホテルと旅館のサービスにはそれぞれ特長がある。
旅館は日本の文化「もてなしの心」が息づいている。仲居さんが荷物を部屋まで運んでくれて、頼めば分からないことや必要なこと一切のお世話をしてくれる。
食事はプランにより部屋で食べることもできるので、他人に気を遣わずゆっくり食事をとりたい人にはおススメしたい。
ほとんどの旅館には温泉があり、また館内は浴衣で出歩ける。細かな気配りや心配りで出迎えから帰るまで、客に寄り添ったサービスを提供し、私たちを満足させてくれる。
一方ホテルは「おもてなし」もさることながら、客のプライバシーを守ることが大前提だ。部屋は防音対策がされており、ドアの鍵もセキュリティの高いものを使用している。
荷物はホテルのスタッフが運んでくれる。食事はレストランを使用できるが、ルームサービスもある。客と節度ある距離を保ち、安心と快適さを第一に考えてくれている。
ホテルと旅館のメリットデメリット
最後に各施設のメリットとデメリットを考えてみた。
旅館は通常1泊2食付が基本になっているので(1泊朝食付も増えてきた)深夜到着や早朝出発などの時間の融通が利かないことが多い。
一方ホテルは一泊朝食付が主流。(こちらももちろんプランによって2食つけることも素泊まりも可能)夕食は自分で手配しないといけないが、朝食はバイキング型式をとることが多く開始時間も早朝からなので、到着時刻や出発時刻も融通が利く。
また、おもてなしを大事にする旅館には、忙しい日常を忘れて至れり尽くせりを味わいたい人に向いている。逆にあまり干渉されず一人でゆっくり過ごしたい人には、客のプライバシーを第一に考えるホテルが向いているように思う。
両施設をわざわざメリットとデメリットで比較することもないが、この記事を読んでいただきあなたの旅行がより快適になれば嬉しい。